彩恵りり🧚♀️科学ライター✨おしごと募集中:相対速度に関する光速の取り扱いが、まさに20世紀初頭に考え出された相対性理論の重要な要素だよ。先に答えだけ言ってしまうと、その場合には向かってくる物体の速度は光速の80%で運動しているように見えるし、その物体が放つ光、つまり物体が見えるために必要な光は相変わらず光の速さで届くよ。もちろん、光が届いたころには物体はずっと移動しているので、見えた位置より実際の位置は近いという補正をかけなきゃいけないものの、衝突するまで見えない、ってことはないよ。 ニュートンによって大系が構築された古典力学の下では、相対速度というのは自分と相手の速度を単純に足し算すれば求まるよ。自分が50km/hで移動しながら、自分とは正反対の方向に50km/hで動く真正面の物体を見れば、見た目の運動は100km/hになるよ。 では、光速の50%で正反対の方向に運動する物体を観ると光速の100%になるから、それ以上の相対速度で動けば光速の100%を超えるのか?というと実は違うんだよね。質問内容は厳密には加速度運動だけど、ここでは単純計算した相対速度が光速の100%を超える慣性運動である、と仮定するね。非慣性運動にしないけれど、あまり本質には関わらないよ。 アインシュタインが相対性理論を考案するよりも少し前、光の速さに関して問題が持ち上がったよ。マクスウェル方程式という方程式を使うと、光の速さが計算によって求まり、それは実験的に測定された光の速さとよく一致していたよ。ところが、マクスウェル方程式は、簡単に言えば古典力学を単純に適応できないという問題を抱えていたよ。この矛盾を解決するには、光の速さが変わるようなことがあるという理論を構築し、実験的にそれを示せば解決すると思っていたよ。ところがいくら実験しても、光の速さが変わるような結果が見えなかったよ。そしてアインシュタインは、光の速さが変わるという前提が誤っていると考え、むしろ光の速さは不変であるという前提の元、理論を構築したよ。これが相対性理論の非常に基礎的なものとなったよ。これまでの理論では速度を決定するための時間とか空間とかを絶対的な基準として固定値扱いしていたけど、アインシュタインはそっちではなく光速度の方を固定値扱いしたよ。ここら辺が発想の大転換、まさにパラダイムシフトになるね! この考えで行くと、相対速度というのも方程式を抜本的に変えないといけないよ。先述した通り、古典力学の下では、相対速度 (w) というのは自分の速度 (v) に相手の速度 (w') をプラスすればいいよ。これは自分から見た相手の運動方向に依存するので、厳密に言えば相手の運動方向を考慮した相対速度になるものの、本質は単なる足し算で求まるよ。w'というのは、ベクトルを考慮した速度で計算してね、という意味だよ。 これに対し、相対性理論で導かれた相対速度はより複雑になるよ。分子はこれまでと一緒だけど、重要なのは分母の部分。1にお互いの速度の掛け算を光速の2乗で割ったものを足す、という項目が追加されているよ。これはもう少し分解すれば、それぞれの速度を光速で割ったものを掛け算した、と言い換えることができるよ。それぞれの速度が光速よりずっと遅い場合、光速で割ってしまうと極めて小さい値が出てくるよ。ここに1を足したところで、ほとんど1に等しいので、分母は意味がないのと同等で、実質的に古典力学の相対速度の式と一致するよ。つまり、古典力学の相対速度の方程式は近似式で、日常生活の上では無視できる、というか測定できないほど小さな誤差しか生まないということになるよ。最初の、お互い50km/hで向かい合っている例だと、古典力学と相対性理論の誤差は約0.00003%でしかないよ。なので、誤差が測定可能な範囲で効いてくるのは光速度にずっと近づいた時か、極めて厳密に時間や速度を測定する場面においてでしかないよ。(Read more)