柿沼陽平 Yohei Kakinuma:夜更かしの歴史は、意外に長そうです。とくに何らかの理由で徹夜をしたという人の例は、太古の昔までさかのぼるんじゃないでしょうか。ぼくでさえ、人生上の悩みが多すぎて、眠れない夜を送ることがありますし。月明かりのもと、「あしたのご飯どうしよう」といいながら、眠れぬ夜を送る人が大昔にいてもおかしくないですよね。 もっとも、どんなに考古遺物を眺めていても、「これが夜更かしの記録だ」とは断定しにくいでしょう。そういうことを知りたいなら、やっぱり文字史料をあつかう歴史学の出番です。 結論からいえば、中国古代には夜更かしの記録、けっこうあります。夜中、もしくは明け方まで働いている人もいます。夜中に月をめでて歌を詠む人、恋煩いでまったく寝つけない人など、枚挙にいとまがありません。飲み会も、ぼくが知っている限りで、春秋戦国時代には三次会までありましたので、たぶん夜中までベロンベロンのグデングデンでしょうね(笑)手前味噌で恐縮ですが、そういったことは柿沼陽平『古代中国の24時間』(中央公論新社、2021年)の第13章にみっちり書きました。興味があればお読みください。(Read more)