現在NASA Exoplanet Science Instituteというところに博士研究員として所属しています。ただ、ここはイメージするようなNASAの研究施設ではなく、カリフォルニア工科大学という大学のキャンパス内でNASAの天文系のミッションを進める施設でして、同じではないですが日本で言うところの東大とJAXAの協力する研究施設が東大キャンパス内にある感じでしょうか。

なので他のNASA研究施設で勤める人たちとは割と勝手は違うと思います。例えば同じパサデナ市内にNASAジェット推進研究所(JPL)というところがありまして、そちらもカリフォルニア工科大学と繋がりは深いのですがNASAの施設としての側面が強いですね。

話は戻りまして、とりあえず僕の経験(+日本での経験との比較)を言わせていただくと

・NASAの大きなミッションベース(数年先だけでなく、10-20年、さらに将来まで見据えたミッションが様々)で関連するプロジェクトが色々と進行・準備されており、それぞれのプロジェクトに関わったサイエンティストという職がきちんとあります。サイエンティストは基本博士号が必須ですが、テクニシャンやリサーチアシスタントなど他の肩書きもあって、学士号からこれらのミッションに関わることができる職もありました。日本だと天文学者として職を取るには博士号が基本必須ですし、理研等の数少ない研究機関を除けば、ほぼ大学教員というカテゴリしか安定したポジションが無く、全体の枠が非常に狭いです。需要が大きく異なっていると実感しています。

・カリフォルニア工科大学という側面もありますが、世界中から人がどんどん集まります。学生、スタッフだけでなく、ビジターが来る頻度も非常に多いです。日本にいた時だと大学コロキウムは学内の人が大半でたまにビジターという感じだったのですが、カリフォルニア工科大学のコロキウムはほとんどビジターの印象です。

・アメリカというお国柄もあり、NASAに関連するとセキュリティのため色々と制限が一気に大きくなります。僕は主にカリフォルニア工科大学側にいるのでそこまで厳しく無いのですが、NASA経費で購入されたパソコンを一つオフィスから持ち出すだけでも許可が必要です。また、JPLの共同研究者のところへ行こうとしても、JPLに研究者として登録していないと2週間ほど前から事前申請を出してセキュリティチェックがあったりします。実際にはこれがかなり面倒なので、JPLの人にカリフォルニア工科大学側に来てもらったりリモートで話すことが多いです。またNASA所属になると他にも色々と細かい制限があると聞きます。

最後にこれはNASA所属じゃなくてもできる話になりますが

日本だと主に文科省(日本学術振興会)の科研費が基礎研究者にとって主体となる研究資金なのですが、アメリカではNSF(日本の科研費的なもの)だけでなくNASAも様々なカテゴリで研究資金を準備しています。そして資金獲得のためには須くプロポーザル(申請書)を出す必要があるのですが、そのレビューは世界中の若手研究者(博士号をとって数年程度)が行うことがあります。僕もとあるNASAグラントにおいてレビューのためのパネルディスカッションに参加したことがあるのですが、事前準備(プロポーザル読み込み、レビュードラフト作り)と5日間のディスカッションでNASAから結構な額の謝金がもらえて驚きました。日本ではこんな話聞いたことがありませんが、専門性の必要な仕事に対して正当な謝礼を払うという考え方をしてくれてありがたかったですね。

2023/01/19Posted
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