むぎSE:とても良い質問ですね。運用は「運用がみんなに浸透するまでが運用」です。手順書を作成するのはほんの一部でしかありません。それを踏まえると運用における大事な点が抜けています。他メンバーを見ているようで、実は他メンバーを見ていないのではないでしょうか。 ■質問内容に感じる違和感を抜き出します。 ① 自分の担当の運用業務を他メンバーに引継ぎたい。そこに他メンバーの気持ちは? 他メンバーの発言を見ると、属人化を防ごう、ナレッジを共有しよう、不在時は代理の人を立てようという思いが一切ないように思えます。つまり、一番最初に大事な目的を立て、共有化する部分がなされていないのではないでしょうか。あくまで推測ですが、「属人化をなくしたい!」と強く思っているのは、質問者さんの思いや動機であり、周囲には質問者さんがリスクを減らしたいという、あくまで自分目線の話をしているように見えました。(違ったらごめんね) きっと質問者さんはできる人で、人一倍、属人化している部分を抱えているからこそ、そこには将来に向けた思いや不安があるのかもしれませんね。 ② 手順書は作っている。だけど、他メンバーが手順書の存在をしらない。。 せっかく手順書を作っているのに、他メンバーが手順書の存在をしらない、または手順書の在り処すらしらない状態になっているのは、次のいずれかであると思われます。 (A)手順を作り、運用や引継ぎを行うことを、メンバーが承諾していない、認識もしていない。 (B)手順書を作って全体メールで共有したけど、1回連絡したきりでメンバーは覚えていない。 (C)手順書を作って共有フォルダに置いたけど、どの機能にどの手順が必要なのか紐づけられていない。 (D)手順書を作って共有も十分できているけど、そもそも手順の内容を説明していないし、メンバーは一回も手順に沿って作業したことがない。 (E)引継ぎ先の担当者が決まっていない。曖昧。また、引継ぎという作業について進捗が管理できていない。 (F)手順の中身がちんぷんかんぷん。 ■運用とは(運用全体の流れ) 運用プロセスを一から構築し、浸透させるためには次のアプローチが必要です。(ちゃんとしたモデルがどこかにあったはずですが、忘れてしまったのでざっくり経験で説明します。プロセスマネジメントだったかな。。。) 目的設定→運用計画→ルール周知→メンバー教育→教育の追跡→運用計画の評価 簡単に解説します。 ・目標設定 なぜ手順書を作るのか、なぜ属人化してはならないのか、ゴールはどこなのか。それをチームの目標として掲げます。一人が声を上げるだけでは難しくて、PMやリーダーがチームの仕事としてメンバーに伝え、理解してもらうとなお良いです。 ・運用計画 どのような運用を、いつ、だれが、どのように実施するか計画します。不在時の運用や、主担当、副担当などの役割、シフトなどを定義します。手順のフォーマット、置き場、アップデート方法、引継ぎ方法なども含みます。この部分もちゃんとメンバーに理解してもらうことが大切です。 ・ルール周知 計画やルールを作ったら、今度は周知する段階になります。内容をちゃんと説明し、メンバーからの意見を反映します。もちろん、意見を聞いてから計画やルールを作っても良いです。ただし、全員にいきわたるように、スルーされないように、説明の場を設ける必要があります。 ・メンバー教育 全メンバーがその運用で走れるように教育する必要があります。必要な人だけ実施すると、機会がない人や、やる気のない人は置いてけぼりになってしまうので、そのような状況を防ぐ必要があります。メンバーが多い場合は、サブチームごとに布教担当を決めて広める手もあります。分からなければ、一緒に手順を動かすくらいしても良いです。 ・教育の追跡 運用やルールの浸透には一回の説明ではダメで、周知後も追跡して教育の状況を確認し、継続して何度も何度も周知・教育を行う必要があります。そこで自分が離れても、運用が定着して自走できるところまでやるのがベストです。 ・運用計画の評価 実際にやってみた運用計画やプロセスは何かしたら課題が残るものです。それで終わりではなく、常に改善を試みます。 ■さいごに これは新しい運用やルールを行う話として書きましたが、企画や提案を行う場合についても応用が効きます。なお、人を動かすには建前や動機が必要です。理想を語ってもついてくれる人は少ないです。そのため、チームが日常的に行っている業務の一環として、プロセスに組み込むのが早いです。逆にいうと、日常にない独立したプロセスは廃れます。その辺を踏まえて、上手に業務や運用のプロセスを構築してみてください。 誰もが通る道です。頑張ってください。(Read more)