まず、あなたのこの質問のように「質問の背景」を書いてくださると、良い質問になりやすいと思います。たとえば、あなたのこの質問が単に「良い質問とはどんな質問でしょうか」だけ書かれていたとしたら、回答者の負担が跳ね上がりますし、ピントが外れた回答が多くなると思います。

「質問の背景」に限りません。質問はどこからかポンと落ちてきたものではなく、必ず質問者さんが存在しているわけです。その質問をしようと思った動機、背景、得た回答をもとにどんなことをしようと思っているのか。それらが回答者に伝わる方が「良い回答」を得やすくなるでしょう。

これはトラブルシュートの質問で見かけるのですが、回答者に超能力を要求するような質問がしばしばあります。超能力というのは「質問者の心を読み取る能力」のことです。言葉にしてもらわなければ、質問者の考えていることはわかりません。もしも情報が不足していたら、回答者はそれを想像で補って答えようとするでしょう。その想像が当たれば的確な回答になりますが、さもなくばピントはずれになるでしょうね。

ここまで考えてくると気付くのはそもそもあなたの求める「良い回答」はそもそも何かをはっきりさせたほうがいい、ともいえます。必ずしもそれはキッチリと表現はできないかもしれませんが、求める方向性、具体性、粒度、あるいは適用分野など、ぼんやりとでも想定している「良い回答」はあると思います。

その「良い回答」(求める回答)と方向性が狂わないようにするだけの情報が書かれている質問、それが「良い質問」になるでしょうね。もしも「いやいや、聞きたかったのはそういう回答じゃないんだけどなあ〜」となるのが嫌だとするならば、質問者自身が抱えている情報が適切に回答者に提示されていることが大切ではないかと思います。

まわりくどい表現になりましたが、短くいうならば、たった一回限りのテキストの往復であっても、コミュニケーションにほかならないということになると思います。そしてそのときに大事なのは《相手のことを考える》という原則でしょう。質問者は回答者のことを想像して質問する。回答者は質問者のことを想像して質問する。それがうまく噛み合ったときに、良いコミュニケーションになるのではないかと思います。

この回答があなたにとって「良い回答」になっていることを期待しつつ答えました。

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なお、トラブルシュートに関わる質問については、以前Webページにまとめたことがあります。今回のご質問とは直接関係がありませんけれど「質問の仕方」という意味では少し関係がありますので、以下にリンクしておきます。

◆技術系メーリングリストで質問するときのパターン・ランゲージ

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