月夜野:仕組みに関しては認知科学や言語学などの専門家の方が回答して下さると思いますので、個人的に何カ国語かかじった経験などから思い付く理由をいくつか挙げてみます。 ＊ まず6年間と言いますが、学校を卒業するだけなら試験でそれなりの点数が取れればいいのでどの科目であれ苦手な人はその科目を理解するより試験でそれなりの点数を取るための小手先のテクニックの方に頭を使う人が多いです。 そう言う人は卒業と同時に忘れます。 元々覚えたのは試験で点数を取るためのテクニックであってその科目自体ではないからです。 ＊ そう言う人を抜きにした場合で考えられるのは以下のケースだと思います。 1.国語が出来ていない。 2.文法はともかく単語を覚えられない場合は文字の記憶が苦手。 3.聴覚の記憶が弱い。 4.記憶力が弱い。 5.勉強の方法が合ってない。 ＊ 1 日本人に英語を教えている方々が口を揃えて言うのは「日本語で言えないことは外国語でも言えない」です。 「日本語で言えない」というのは「言いたいことを言語化する能力がない」という事です。 普通に会話が出来ていると思うかもしれませんが、他国語で言おうと思ったら日本語では無意識に話していることを意識的に組み立てる必要があります。 試しに日本語の簡単な小論文のテストをやってもらえば分かると思います。 設問に対する答えを言語化して回答できないなら、外国語以前に国語でつまずいます。 本当にネイティブ並みに英語が上手い人というのは国語も得意です。 国語も英語も語学なので語学的思考が出来るからだと思います。 2 病院で記憶力の検査を受けたことがあるのですが、その時の検査結果を見たところ、記憶にも視覚的な記憶、聴覚的な記憶などがあり、更にそれらも細かく分かれています。 視覚的な記憶力や認識力が弱いという場合、単語の綴りを覚えるのは簡単ではありません。 中にはディスレクシアといって文字が分からない人がいます。 ディスレクシアでもアラビア数字だけ判別できないとかアルファベットだけ読めないなど文字によって読めたり読めなかったりするようです。 ただ人間は白か黒かの2択ではなく中間のグレーゾーンの方が遥かに多いです。 ディスレクシアとまではいかないものの字の判別が苦手という人はいます。 苦手の度合いも人によって違います。 人によって文字の適性も違うのかもしれません。 ラテン文字は苦手だけどギリシア文字は苦労しないということは有り得ると思います。 まして学校の勉強もろくに覚えてない状態で判別に苦労する文字を覚えるのは難しいという人もいると思います。 3 読み書きに聴覚は関係ないと思うかもしれませんが、聞いた話によると文字を読むとき頭の中で音読できないと意味が分からない人がいるそうです。 2と少し関連しますが読めないと音読出来なくて分からないという人も中にはいるかもしれません。 英語は綴りと発音が一致しないものが割とあるので音読しないと分からない人はアルファベットだけ覚えても読めないから分からないと言うこともあるかもしれません。 4 記憶出来る量は人によって違います。 人によってはキャパオーバーだから覚えられない、覚えてもすぐ忘れてしまう、というケースもあると思います。 覚えなければいけない事は英語の他にも色々あるのですから覚えきれないという事はあり得ると思います。 5 勉強の方法が合っていないというのは、人によって理屈が分からないと理解出来ない人もいれば、直感で分かるから逆に理論的なことが分からない人もいるので人によって勉強の仕方も合う合わないがあるという事です。 直感で分かるという人によると勉強で論理的な説明をされたら却って分からなくなったと言っていました。 直感型の人には直感で分かるように、理論型の人には理論的な説明が必要だと思います。 人間は機械ではありませんから全ての人に通用する勉強法はないと思います。