大谷栄治:質問どうもありがとうございます.よくこのように誤解されますが,地球の内部はドロドロのマグマではありません.地球の内部は,地震波(特に横波)が伝わることから,ほとんどの部分は固体の岩石からなります.ただ地球中心部の核の外側の部分(外核)は溶けた鉄を主成分にしています.核の中心にある内核は固体の鉄を主成分としています.地表には火山活動があり,マグマが噴出することから地球内部は溶けていると誤解されがちですが,岩石が溶けてマグマができるのは,特別な場所に限られています.地球内部で岩石が溶けてマグマが発生するのは,以下のような原因によります.まず,岩石が溶けてマグマができる温度は,深さとともに高温になります.第一にマントル深部から高温の岩石が浮力で固体のままゆっくりと上昇します.深部から岩石が上昇して,浅い部分に到達すると,岩石が溶けてマグマができる温度(融点)が下がり,地表に近い部分(深さ100-200km程度)で地球の深部から来た高温の岩石が溶け始めることになります.このように一般的に地球の深い部分から上昇する岩石部分は,地表近くで溶けてマグマができます.これが一般的なマグマのでき方です.ハワイ島のような火山島はこのようにできます.第二のマグマのでき方は,水の影響があります.水が加わるとマグマのできる温度(融点:岩石の溶ける温度)が下がります.その結果,水が加わるとマグマができることになります.特に,日本のようなプレートの沈み込み帯では,海水がプレートの沈み込みにともなって,マントル内部に取り込まれます.この海水がマントルに加わると,そこが溶けマグマが発生します.多くの火山が日本列島にあるのは,このような理由によるのです.