積惟美:日本企業が副業を禁止する理由はいくつかありますが、主なものは以下の通りです。
* 本業への影響や支障への懸念:単純に副業を行うことによって本業の業務がおろそかになる可能性がありますし、特に日本企業では従業員に会社への忠誠心や献身が求められていました。
* 情報漏洩・利益相反:副業する場合、本業の業務と関連した仕事が多いですが、その場合、本業との利益相反や情報漏洩が問題となります。
* 問題が起こった場合のブランド毀損:従業員が副業でトラブルを起こした場合、それが本業の会社のブランドを棄損する可能性があります。
しかし、法的には副業は原則として自由に行うことができ、これを禁止することは例外的な場面に限られます。さらに、コロナ禍で経営環境が変化したことや、従業員の多様な働き方やスキルアップを支援するという形で、日本企業の間で副業を解禁する動きが広まっています(パードル総合研究所によれば、副業を全面禁止している企業は2018年に48.8%でしたが、2021年には45.1%に減少しました)。とくに、厚生労働省も副業に制限を設けるなら、その理由の公表を求める方針を表明しています。
機密情報を取り扱う会社や会社へのコミットメントが重要なベンチャー企業などうしても副業を解禁できない会社は存在するため、法律が副業禁止を禁止しない限りすべての会社が副業を解禁するということは考えられませんが、今後日本においても解禁の流れは強まるのではないでしょうか。