科学の楽しさはものが「わかる」ことの喜びだと思います。「わかる」といってもいろいろあるかもしれませんが、（習ったり聞いたりしただけの）知識に基づいた「理解」ではなく、深い思索によってであれ直感的であれ、経験に基づいた事実や感覚から自然な帰結として説明できることが大切だとぼくは思います。ここでいう「経験」は、日常生活上のものだけでなく、算数などでは実際に計算してみて結果を得ることが「経験」にあたります。そうして体感した感覚に基づいて新しいことを理解すること（スッとわかったような感覚をともなって）は、知識の積み重ねによる理解よりも、ずっと大きな喜びになるでしょう。質問への答えとしては、「この意味での「わかる」ことの喜びを日常的に（生活でも学習でも）感じることができる環境」だと思います。親や教師が日常的に（知識を伝えるだけでなく）「わかる」ことを促すことが必要だと思います。自分自身振り返って、「わかる」ことの喜びにもっと早く気づいていたら良かったと思います。

「わかる」ことはとても個人的なもので、どこが「わかる」ポイントかは人それぞれ違いますね。だから多数を相手にした教育は「わかる」ことではなく知識を教えることに特化してしまいます。秀才であれば、それでも「わかる」ことの重要性に自ら気づくのでしょうが、周りが「わかる」とはどういうことかを体験を持って示すことが必要だと思います。だから親や教師の役割はとても大きいと思います。

「わかる」は「感じる」ととても近い感覚だと思います。（それにどちらも個人強く依存します。）　だから芸術を「感じる、わかる」ことは科学を楽しいと思う心と実は同じものなのだと思います。（さらに芸術も、学校で教わると知識になってしまい自分の素直な感性でみたり体験する機会はなかなかないかもしれません。）　そう考えると、多方面に感性を磨くことは実は科学に一番必要なことなのではないでしょうか。「わかる」ことの重要性は科学以外の全ての活動にいえることだと思います。