浅野 晃:注意を促す色は,やはり赤色・黄色,それとオレンジ(橙)色だと思います。 JIS規格には「高視認性安全服」(JIS T 8127)というのがあります[1]。道路工事や交通整理の作業員が着る,離れたところからでも注意を引くための作業服の規格です。これによると,高視認性安全服の色は「蛍光レッド」「蛍光オレンジレッド」「蛍光イエロー」が定められており,それぞれの色と反射率が規定されています。このうち「蛍光イエロー」は,環境によっては少し黄緑っぽく見えると思います。 なお,注意を促す色というのは当然目立たなければなりませんが,目立つ色というのは背景によります。蛍光色でない黄色を注意を促すのに使うためには,黒い背景の場合が適切で,工事の注意標識に使われる黒黄の縞(いわゆる「タイガースカラー」)がよく見られます。これは,黄色は高い彩度と高い明度が両立するので,高彩度・高明度の黄色を使うと,黒とのコントラストがはっきりつくためです。 マンセル色立体の,各色相での断面を表した図が[2]にあります。マンセル色立体は,広い用途で使われている「色見本帳」で,各色相を「人が見て等間隔に並ぶように」環状に並べ,各色相について,明度(value,色の明るさ)を上下方向,彩度(chroma,色の鮮やかさ)を中心から外側の方向に,これも等間隔に並ぶようにして,色を立体に配置したものです。[2]では,各色相について,明度が上下方向(上が明るい)に,彩度が左右方向(右が鮮やか)に変化していて,これが色立体の各色相での「断面」となります。 これを見ると,黄色(色相Y)やオレンジ色(色相YR),黄緑色(色相GY)では,高い明度(上のほう)で高い彩度(右のほう)の色が存在することがわかります。一方,青色(色相B)や紫色(色相P),その中間の色では,高い明度と高い彩度が両立しないことがわかります。 [1] 日本ユニフォームセンター,高視認性安全服のご案内 http://www.nuc.or.jp/investigation/images/invest_pdf08.pdf http://www.nuc.or.jp [2] マンセル色立体の垂直断面,Interior Zukan http://i-zukan.net/ic/c_munsell.htm マンセル色立体 http://i-zukan.net(Read more)