Hayato Shimabukuro(島袋隼士):まず、中国の大学における天文学の現状を少し説明すると、2010年以前はわずか4つしか無かった天文学専攻が、現在16個にまで増えています。
また、FAST望遠鏡やCSST(巡天)など、中国独自の望遠鏡開発のみならず、SKAなど国際プロジェクトにも参加しており、年々、中国の天文学は盛り上がっているのが現状です。
さて、中国の大学院で天文学を研究したい場合、中国の大学院に直接入学するというのも一つの手ではありますが、これは結構、難易度が高いです。指導教官との議論等は英語で問題無いのですが、大学院での授業は中国語なので、ある程度、中国語を話せる必要があります。入学の際にHSK5級程度の中国語能力を求められます。そのため、本科生として中国の大学院に入学するのは、基礎物理や天文学の知識以外にも中国語能力が求められます。
中国で天文学をやる別の方法としては、まずは日本の大学院に入学し、学振の海外交流プログラムなどに応募して、中国の大学に短期ー中期で滞在するというのもあります。中国の大学院に本科生として入学するよりは、こちらのほうが現実的だと思います。
次に、学部のうちに何をすれば良いかとのことですが、まずは基礎物理学をしっかり勉強してください。天文学は基礎物理の上に成り立っているので、力学、解析力学、熱・統計力学、電磁気学、相対性理論、量子力学を勉強してください。その上で、より天文学の知識を身に着けたい場合は、例えば「Radiative
processes in astrophysics」や「Astrophysical
concepts」などを読むと良いです。これらは、天文学の分野に依らない基礎的な話であり、私も東北大学の天文学コースの学部生時代に読みました。また、分野別では総研大の推薦教科書が参考になりますし、もし、宇宙論に興味があるなら私の記事をご参考にしてください。