佐藤愛:まずサリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』をおすすめします。
短編集でどれも作者が戦争中に受けた心の傷を反映しています。ですがただ暗いだけではなく光がかすかに見えたりします。短編集なので長編よりも読みやすいかと思います。
どれも面白いですが特に「エズミに捧ぐ――愛と汚辱のうちに(For Esme-with Love and
Squalor)」はあたたかな知性と希望が感じられる作品です。
少し元気が出たらリチャード・パワーズの『幸福の遺伝子』をおすすめします。こちらは書けなくなった作家と、過酷な生い立ちの学生との交流が中心の物語です。
https://www.shinchosha.co.jp/book/505874/
現代の科学と文学との関係、不幸と幸福について興味深い視点を提供してくれます。
かぜかアメリカ文学ばかりになってしまいました。アメリカ文学好きの友人と出会えるとラッキーを感じます。彼ら/彼女らはちょっとひねくれていてあたたかかったりするので、「人生のどん底」というキーワードに合うように思いました。