川原繁人:考えられると思います。最近、プロのミュージシャンの方々とお話しする機会を多く頂いていますが、この問題を真剣に考えてらっしゃる方は少なくありません。単語のピッチアクセントをそのままメロディーに生かしたほうがメッセージは伝わりやすい。でも、音楽そのもののメロディーも大事にしたい。そのバランスをどこに置くかで、その人の信念が表れているとさえ言えそうです。
子ども向けの童謡では、単語のアクセントとメロディーは非常に高い確率で一致している印象を受けます。これは子どもを混乱させないための配慮と言えるでしょう。
ちなみに、日本語ラップでもふたつのスタイルがあって、もともとの単語のアクセントを大事にするスタイルと、韻を踏むときに独特の高低パターンを作り出すスタイルがあります。同じ人でも曲によってスタイルが変わることもあります。メッセージを伝えることを重視するのか、独特のリズムで楽しませるのか、どちらのスタイルもそれぞれの効能があるのでしょう。