以下は、あくまで私の個人的な考えであって「編集者とは〜」のような一般的な主張ではありません。なお、ずいぶん偉そうに書いてしまいましたが、私は編集者を「値踏み」しているわけではありません。

いままで広い意味でお付き合いした編集者さんは数十人くらいでしょうか。実際にお仕事をした範囲になるとずっと少なくなりますが、私は「いい編集者さん」に恵まれていたと思います。

私が求める「いい編集者」としては、基本的なポイントとしては以下のような項目が考えられると思います。

・私が書いた文章をよく読み、その良さを見つけてくれる。誤りがあればそれを見つけ、改善点があればそれを提案してくれる。

・私が作った「作品」を「商品」という形にプロデュースしてくれる。

・出版社と私のあいだに立ってくれて、出版社に対しては私のいわば代理人として動き、私に対しては出版社の考えをきちんと伝えてくれる。

もう少し抽象的に、別の観点から書きますと、私にとって「いい編集者」というのは、「私自身が作り出すことができない価値を付与してくれる存在」と表現できるかもしれません。なお、いうまでもないことですが、ここでいう「価値」とは「読者に対して提供できる価値」という意味です。

そしてその「価値を付与する」ためには、私が書いたものを読んだり、私の仕事について理解してくれたり、また編集者自身がいろんな意味で高い能力を持っていることが必要になると思います。

 * * *

そういえば以前「いい編集者とは」という質問に、私が配信しているメールマガジンで答えたことがありますので、そこから引用します。

(引用)

いい編集者とは。

読者・作品・著者・書店・組版・デザイン・企画・営業・宣伝・予算……そしてもちろん社会全体。その本を取り囲む全方向に目を効かせた上で原稿に向かい、その本をあるべき姿へ導くために関係者を動かすことができるプロデューサです。

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年5月22日 Vol.321より

https://mm.hyuki.net/n/nb69967be627d

(引用終わり)

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