蒔田純:確かに、日本の地方においては「中央から金やプロジェクトを持ってきた」人が評価されるのに対して、「中央への依存を少なくした」人が評価されにくいという側面はあるかもしれません。 その要因としては、成果の「分かりやすさ」が挙げられると思います。中央からの金やプロジェクトは、少なくとも短期的には目に見える形で物理的なモノや経済的なプラス効果が生まれる場合が多く、成果が分かりやすいのに対して、中央への依存を減らす取り組みは、例えば補助金に頼らない行政運営等、少なくとも初期段階では地域経済に負担を強いる場合があります。そのため、即効的な経済的効果が見込みにくいという意味で、支持や評価が得られないことがあるのではと思います。 また、既得権層が固定化されていることも考えられます。中央からの金やプロジェクトを地方において享受し得る層が一部のエリート層や既得権益集団に固定化されている場合、それらが中央への依存を減らす動きに対して反発する可能性があります。彼ら/彼女らは既存のシステムの下で利益を得ているため、その現状を変えることを意味する、「中央への依存を少なくする」試みに対して消極的な姿勢を取ることが考えられます。 「中央への依存を少なくした」人については、「改革派首長」と呼ばれる人は、多かれ少なかれ、中央依存を脱し、当該自治体独自の取り組みを進めようとする側面を持つのではないでしょうか。かつては三重県の北川知事、宮城県の浅野知事、高知県の橋本知事、近年では東京都の石原知事、大阪府の橋下知事、などが代表的な存在でしょうか。 「中央への依存を少なく」し、地域独自の取り組みを行うことは大切ですが、一方で人口減少下において地方がより独自の財源を確保しにくくなっていることも事実であり、そうした多角的な視野に立って中央地方関係を検討することが必要かと思います。(Read more)