Hidezumi Inoue:「ニキ」が何を意味するのかがよくわかりませんが、少し整理しつつ考えたいと思います。ポイントになるのは情報の整理です。
具体的なイベントを使って説明してゆきます。
アメリカで12月のCPIが発表されました。依然物価上昇は続いているようだが伸びは鈍化してきているという内容です。このニュースが発表されるとドル円は一時128円台後半まで落ちています。その後やや戻し129円という展開です。
* 米消費者物価、6.5%上昇 6カ月連続で伸び鈍化―12月
* NY円、一時129円台 米消費者物価の鈍化で
この展開でわかることはまず「先行する指標があり」「その後次の展開が予想され」「それがあったか外れたか」で反応が決まっているということです。最初に挙げた記事は「事実」でした。これに伴って「次の予測」が出ます。実は指標が出て→予測が出て→ドル円相場の移動という結果が出ています。
* 米金利先物、次回FOMCでの0.25%利上げ確率95% CPI受け
* 米利上げ幅0.25%に減速する用意ある=フィラデルフィア連銀総裁
ではなぜそうなるのかということになります。Bloombergに記事が二つ出ています。要するに「専門家の間でも困惑が広がっており先行きがよくわからなくなっている」ということが書かれています。そもそも投機性(ギャンブル要素)が強くなっている上に、伝統的な手法で解釈できず、アメリカの金融政策をコントロールしているはずのFRBですら予想が難しいということになっています。これが市場の反応です。これは指標でも予測でもありません。つまり経済媒体の記事にはいくつかのことなった機能を持ったものがあるのです。
* 「予想どんぴしゃ」のCPIに困惑、労働市場と矛盾-市場関係者の見方
* 米新規失業保険申請件数と継続受給者数、いずれも予想を下回る
金融市場が「予測可能性が低い」と感じているのですから「なんらかの単純なルール」を使って市場動向を予想することは難しいのであろうということがわかります。このため市場(金融市場)はさまざまな指標を読み取りそのたびに損を最低限にする動きを取らざるを得ないというのが現状です。
誰もが先の見通しが立てられない場合、市場を予測すればいいのでしょうか。
ヒントになるのは気象予測です。気象予測は「西から低気圧が近づいてきている」から「明日は雨が降るようだ」というように近い未来を観測の結果として予想しています。まず「どんな指標が出たら為替相場がどう動くか」を学んだ上で、次にどんなイベント(指標の発表や政策決定)があるのかを把握するべきでしょう。
ロイター、Bloomberg、日経新聞のような媒体は「指標」「次のイベント」「識者や市場の反応」を分けて記事を書いています。記事の内容が何に当たるのかを確認した上で、複数の記事を読むようにするといいと思います。
大抵の媒体はRSSによって記事を配信しています。RSSリーダーを使って記事を整理して見出しだけでも一通り読むようにすれば、一朝一夕というわけにはいかないでしょうが自然とこの辺りの感覚が掴めるようになると思います。
以上、ご参考になさってください。