菊澤研宗:西ドイツは、日本と同様に戦後高度成長してきました。一時は、日本よりも上だったと思います。ところが、日本(や米国)と同様に60年代に公害問題が発生しました。酸性雨によって大切な森の木が枯れ始め、野外に設置された彫刻が溶け始め、さらにライン川の魚が浮いてきました。
こうした状況で、ドイツでは政府が徹底的に公害対策に乗り出します。公害を生み出している企業に対して公害対策を行うように法的に規制しました。それゆえ、企業は公害対策のための設備投資が必要なり、それはコストを高めるので、ドイツの製品は割高となり、ドイツの経済は停滞することになります。こうした状況で、公害対策に関して、若干あまい対応をしてきた日本企業が世界で目立ち始めることになります。
ところが、今度はドイツではごみ処分場近くで奇形児が生まれることが問題となり、それはダイオキシンと関係していることがわかりました。このゴミ問題は、多くのひとびとがかかわっているので、事後的には処理が難しいので、事前の対応が必要となってきます。こうして、公害問題は環境問題へと変貌します。
こういった一連の問題を次々を解決してきたドイツは、現在、環境ビジネスの先進国として世界を常にリードしています。