田辺俊介:まず電話による世論調査は、基本はRDD(random digit
dialing)と言って、ランダムに発生した電話番号に電話をすることで、無作為に対象者を選ぶ方法をとっております。
携帯電話が普及する以前、一方で基本的に一家庭に一つの固定回線の契約があった時代は、電話がかかった家の家族から適切に対象者を選ぶことで、偏りが出にくい方法をとっていました。
(今でも固定電話にかける場合は、同様の方法です)
ただ現在は、固定電話を持たない家庭も増えています。また特に携帯電話・スマホについては「非通知であれば一律出ない」という人もいると思います。その場合、「非通知でも電話に出る人」と「非通知であれば一律出ない」と決めている人の間の、パーソナリティ的な差異などが重要な影響を与えるような調査であれば、一定の歪みが生じます。
そのため、調査する側はせめて非通知ではない方法をとるなど、上のような偏りを減らす努力はすることが望ましいと考えます。
ただし、実際には歪みを完全に無くすことはできず、また非通知の調査の一部は選挙の予想などのために行っている調査です。そのような選挙予想調査などでは、「投票に行く人」の動向をできるだけ把握したいと考えられます。その場合、実は投票にあまり行かない人の多くが、非通知の世論調査に時間的余裕がなく答えない人だったり、非通知は一律でない人だったりすると、選挙の予想には影響を与えないので、実質上はあまり問題がないからこそ、「非通知での世論調査電話」がある程度存在している可能性もあります。