彩恵りり🧚♀️科学ライター✨おしごと募集中:歩くと液体・走ると固体、と言えば水と片栗粉の懸濁液で簡単に作れるものだよね。そしてこれは非ニュートン液体の不思議な性質として良く取り上げられる、という点でもよく知られているね。非ニュートン流体を調べてみると「流れの剪断応力と速度勾配が比例関係にない流体」と出てくる。この答えで分かれば、そもそもこんなところに質問を投稿しないよね。非ニュートン流体の物理は非常に混み入っているので、今回は厳密性を省き、表面的な部分だけを説明することにするよ。
スゴく雑に言えば、非ニュートン流体というのは普通の液体として素直に振る舞ってくれないもの、と言うことができるよ。ここでいう普通の液体とは、水とかアルコールとか油のようなものだよ。これらに粘り気の差はあるけど、基本的に傾斜を付ければ流れてくれるし、どんな形の容器にも隙間なく収まってくれるよね?こういうのを普通の液体、つまりニュートン流体と呼ぶよ。ニュートン流体の特徴は、かけた力に対して比例する振る舞いをしてくれることだよ。
非ニュートン流体は普通の液体のように振る舞ってくれないというけど、これはニュートン流体とは逆、かけた力に対して比例する振る舞いをしてくれない液体を指すよ。ではどのようなものがあるのかというと、以下のように分類できるよ。
* ビンガム流体 (塑性流体) :
弱い力ではほとんど固体のようで流れないが、ある値より強い力の下では普通の液体のように流れるもの。つまり固体と液体の境目があるように見える。保管時は固体として扱えているピーナッツバターやマーガリンのようなもの。
* 擬塑性流体:
力を加えると段々と普通の液体のように流れるもの。ビンガム流体と違い、明確な固体と液体の境目はなく、力が弱いうちは流れにくい液体であるという違いがある。マヨネーズや歯磨き粉のようなチューブ入り製品はほとんどがこれ。
* ダイラタンシー流体 (剪断増粘流体) :
擬塑性流体とは逆に、力を加えると段々と固体のように流れなくなってしまうもの。最初に書かれている歩ける液体マジックがまさにそれ。他にも砂のような粒子の大きい流体はこのような振る舞いをしやすい。
こんな感じで、非ニュートン流体と一口に言っても、その振る舞いは全く違うよ。ということで原理面を説明しようにも、一言で共通の説明をすることはかなり難しいし、本質的な所は最先端の物理学でまさに研究中という謎の多い分野でもあるよ。
なるべくかいつまんで説明すると、これは普通の液体と非ニュートン流体の構造の違いによるよ。普通の液体は小さな原子や分子でできているので、私たちが取り扱うくらいマクロな視点では、粒のような塊が存在しない、完全に滑らかな物体であるとみなせるよ。このような場合、分子同士の相互作用を、基本的には無視することができるよ。一方で非ニュートン流体の場合、分子のサイズが非常に大きかったり、分子同士が結合して小さな粒となっている場合がほとんどだよ。このような状況だと、分子や粒の大きさを無視することができず、摩擦がかかったり、紐状の分子が絡まったりするなどするよ。これが液体としての振る舞いを阻害する要因となるよ。どのような振る舞いをするのか、その正確なところを知るのは難しいのだけれども、とにかく、非ニュートン流体が普通の流体とは異なる性質を示す原因は、その構成要素にあるよ。