「方法」といえるほどまとまっているわけではありませんが、ごく素朴なお話をします。
最初から「論理的かつ端的に話す」のをめざすのではなく、まずは文章に書いてみてはどうでしょうか。なぜかというと、言葉にして話した場合、自分が何を言ったかをふり返ることが難しくなるからです。話した言葉はすぐに消えてしまい、自分がどんなふうに話したのかを反省することが難しくなります。
自分の言いたいことを文章に書いてみて、それを読み返します。そしてその文章は、自分が目指す「論理的かつ端的」に表現したものになっているかを吟味します。恐らくはそうなっていないと思うので、どうして論理的になっていないのか、あるいは端的になっていないのかを分析します。そして満足がいくようになるまで文章を書き直してみるのです。
ここまで書いてきたのは「話す」部分を「書く」に置き換え、自分が書いたものを読み返すことで、自分がどんな文章を出力しているかを把握し、それを改善する試みです。
もっと優れた方法があるのかもしれませんが、以上述べてきたのはごく素朴で、地道ではあるけれど無駄にはならない練習であると私は思います。
同じことを「文章」ではなくて「動画」で行うことができるかもしれません。スマートフォンなどで自分が話す様子を録画し、それを見返して改善を試みるのです。
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あなたの質問からやや話は変わります。
私は『数学文章作法』という文章の書き方の本を上梓しており、その謳い文句としては「正確で読みやすい文章を書くための本」ということになっています。あなたが望む「論理的かつ端的に話す」とは多少違いますが、共通する部分も多いと思います。
単に自著の宣伝のために書いているわけではなくて、私が書いた本の中で強調している原則をお伝えしたかったからです。それは《読者のことを考える》という原則です。私は文章を書くときの原則・鉄則として《読者のことを考える》が重要であると思っています。
その観点で、あなたのご質問にある「論理的かつ端的に話す」という表現を見たとき、あなたが話す「相手」は誰なのだろうと思いました。別の言い方をすると、「論理的かつ端的に話したい」と願う理由は何なのかということです。それはやはり、自分の考えが相手に対して「正確でわかりやすく」伝わることを期待するからなのではないかと思いました。
あなたがどのような訓練をなさっていくかはわかりませんけれど、そのプロセスの中で、ぜひ、あなたが話す「相手」のことを忘れないようにしていただきたいと思いました。
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◆相手を説得する(仕事の心がけ)
https://mm.hyuki.net/n/na18d781d1eb3
◆思考を言語化するのが苦手(コミュニケーションのヒント)