横田有為:まず初めに、結晶(クリスタル)とは、1つの粒のみで構成されている物質です。結晶を構成する原子や分子が規則正しく並ぶ(配列する)ことによって、光沢や透明度を持った物質になります。水晶やサファイアなどの宝石が透明なのはそのためです。したがって、その物質を構成する原子や分子の配列の仕方(結晶構造)が、結晶の形に大きく影響します。ビスマスの結晶構造は、三方晶系という形で、立方体の相対する角を引っ張って伸ばしたような形状をしているので、その結晶構造を反映した形が結晶に現れます。
結晶を作るにはゆっくりと時間をかけて、原子や分子が規則正しく配列する状態を維持します。その時、結晶構造によっては配列しやすい方向と配列しにくい方向が出てきます。例えば、結晶構造の角の部分は配列しやすいが、面の部分は配列しにくいといったことが生じます。その結果、結晶を人工的に作製すると、その物質が持つ結晶構造を反映した特徴的な形になることがあります。(ただし、特徴的な形にはならない結晶の作製方法もあります。)