千葉逸人:曲面の性質を調べるには2階微分が重要になります。
簡単のため1変数関数 y = f(x) のグラフの形状を知りたいとしましょう。導関数 f'(x) が 0
になるところが極大値や極小値の候補(必要条件)になります。しかし y = x^3 (xの3乗) だと, 導関数は原点 x=0
において0になりますが、極値ではありません。
こういった場合は2階微分まで調べる必要があります。
微分は傾きの大きさを調べるものですが、それが0になる場合は、その傾きの変化をみるためにもう一回微分するのです。
これを多変数関数に拡張すると、1階微分は gradient というベクトル になり、2階微分はヘッセ行列という2階テンソルになります。
さらにこれをリーマン多様体に拡張することを考えます。
リーマン多様体は距離が定まっている空間ですが、なにをもって2点間の「距離」を定義するかを定めないといけません。これは三平方の定理の拡張で行うので定義式に2乗がでてきます。したがって添え字が2つでてきて、リーマン計量は2階のテンソルになります。
そしてリーマン多様体の曲がり具合を調べたいとしましょう。
接線に対応する接ベクトルはリーマン計量の1階微分で、3階のテンソルになります。それがクリストッフェル記号です。
さらに極値などの情報を調べるためにはもう1回微分するので、添え字が1つ増えて4階のテンソルになります。
というわけで、リーマン多様体の定義において2階テンソルが必要で、それを2回微分したいから4階になる、ということです。