Hayato Shimabukuro(島袋隼士):おそらく、フリードマン方程式で出てくるハッブルパラメータが時間の関数という意味を指しているのでしょうか。(たとえば、http://www-utap.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~suto/myresearch/sinra-bansho05_4-cosmparam.pdf の3ページ)。ハッブルパラメータはH(t)=H_0×(時間あるいは赤方偏移の関数)として書けます。そういう意味では、ハッブルパラメータは時間の関数ですが、ハッブル定数H_0は定数なので区別が必要です。
現在、宇宙論で議論を巻き起こしているのはこのハッブル定数がCMBによる観測と超新星の観測で測られたもの値が異なるというもので、「ハッブルテンション問題」と言われています。CMBは宇宙誕生後約38万年が経過した時期を見ている一方で、超新星は近傍宇宙の観測なので、「もしかしたらハッブル定数は時間変化しているかもしれない」と言われているわけです。(https://news.mynavi.jp/techplus/article/20210517-1889594/)
様々な観測の結果、このハッブル定数の測定値のズレは統計誤差や系統誤差では無いという事がわかってきたので、ハッブルテンション問題を解くためには、例えば、より遠方の超新星を観測する必要があると考えられています。いずれにしろ、どうしてこの様な差異があるかは分かっていません。
また、こういうのは統計的にデータを解析する必要があるので、z=10の銀河を1個観測するくらいではダメで、たくさんのサンプルが必要です。いずれにしろ、遠方の超新星や銀河をたくさん観測して宇宙の膨張率を測ることが重要であり、もしかしたら今後ハッブル定数が時間変化しているという結果が得られる可能性もあるかもしれません。今後の宇宙論の発展にご注目ください。