アングリマーラは仏陀の説法を受け、仏陀のもとで出家して修行をやりなおします。この話で大切なのはそこで、どんなに悪事を積み重ねていても仏門はそれを赦して受け入れるし、悪人は改心して正しい道に入ることができるということだと思います。アングリマーラのような悪業のひとも仏弟子になれたのだから、私たちもまた、いつでも仏教に帰依することができるはずです。俺なんか若い頃ヤンチャしてたからダメだよな、なんてことはありません。

アングリマーラはもともと真面目な青年だったからこそ、こんなことになってしまったんですよね。師匠の言葉は疑ってはならない、常に従いなさい、というのはインドの学生の基本です。(「エーカラヴィヤ」で検索してみてください。師匠の言葉に忠実だった、もうひとりの青年の話が出てきます。)模範的な学生であるがゆえに、悪い師匠によって悪い道へと連れて行かれてしまいました。アングリマーラが最初に修行していたのは、バラモン教の師匠のところです。仏教としては、バラモン教にはこういう悪い奴がいるから気をつけろ、というネガティブキャンペーンでもあったのでしょう。

しかしなんで、こういう真面目な学生がひどい目に遭わされるんでしょう。アングリマーラ説話のバージョンによっては、彼は前世で極悪の人食い夜叉だった、とされています。前世の悪業の結果を、いま受けているということですね。

1 year ago

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Past comments by 岩崎陽一
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