鵜山太智:人工的な光は光害となって天文観測、特に暗い天体を観測するのに非常に問題になってきます。なので、できるだけ人里離れた場所になるのですが、それだけではありません。
僕は専ら可視光、近赤外線を利用した観測を進めているのですが、そうすると天気が悪くなると観測条件は非常に悪くなってきます。簡単にいうと雨が降れば望遠鏡は動かせませんし、雲があったら観測ができません。雲がなくても風が強くなると観測条件が悪くなってしまいます。要するに、地球大気が邪魔になってきちゃうんです笑
そういう理由もあって世界的な大型望遠鏡は高地で天候の安定しているエリア(マウナケア山山頂、アタカマ砂漠など)に集中しています。また極論を言えば宇宙空間で観測できるのが一番良いですね。そうすれば地球大気の影響で観測できない紫外線、中間・遠赤外線も観測できて得られる情報が大きく増えます。
ただし、地球や太陽から遠く離れた全くない宇宙空間で観測しようとすると、望遠鏡自体の安定性が担保されなくなります。あと地球から離れすぎたらデータが取れても地上にデータを送信するのが問題になります。実際の宇宙望遠鏡はラグランジュ点(参照:
天文学辞典 - https://astro-dic.jp/lagrange-point/ )
という力学的に安定しているところに設置されており、ここに置ければデータ転送も既に行われている技術なので、もしどこにでもというのであればここが良いかなと思います。
月面望遠鏡も月の大気は地球に比べてほぼ無視できるので良いと思います。ただ、月に建設するというところのデメリットを僕は把握していないので、保留にしておきます。