彩恵りり🧚♀️科学ライター✨おしごと募集中:あれは脊髄反射で書いたものなので、あんまり真面目に捉えちゃだめよ😂
一応知らない人向けに内容を説明すると「月への探査機着陸は難しいので、パラシュートで降下してみてはどうか」という、月には大気がほとんどないことを理解した上でのネタツイートに対し、私が実際に必要なパラシュートの面積を単純計算した、という流れよ。
実際のところ、月に大気はほとんどないよ。ほとんど、と書いたのは、文字通りのゼロではなく、実は極めて薄いガスが表面に存在することを踏まえたネタだよ。その量は極めて薄く、事実上はゼロなので、厳密な議論以外では存在しないと仮定しても問題ないレベルだね。
さて、質問内容は、月の昼側と夜側で必要な面積が変わってしまうということだけど、その理由は、月の大気は昼と夜で濃さが異なることを反映しているからだよ。何しろ元々が薄いゆえに、昼と夜では1000倍も濃さが変わってくるレベルで違うよ!
昼と夜で露骨に違うのは太陽が関係してくるけど、その理由を知るには月の大気の源を知る必要があるよ。月の大気の主成分はアルゴンとヘリウムという貴ガスで、わずかだけど計測可能なレベルでナトリウムやカリウムを含んでいるよ。この内ナトリウムやカリウムは岩石に含まれる金属元素だけど、月の表面環境では蒸発して飛び出してくるよ!その理由は、太陽風や宇宙線といった高エネルギーな粒子線の衝突で、岩石の成分自体を分解して直接叩き出してしまうことに由来しているよ。このために、宇宙線に加えて太陽風が直接照射される昼側の方が、宇宙線だけになってしまう夜側と比べて、ナトリウムやカリウムの生成量が増えてくるよ。一方で、アルゴンとヘリウムは主に岩石に含まれる放射性物質の崩壊で生成するもので、これ自体は直接昼夜とは無関係だよ。ただし、昼側は太陽熱で岩石が温められるから、加熱による脱ガスで逃げ出しやすくなるから、結果として昼側の方が大気への供給量が増えてくるよ。この違いによって、月の大気は昼と夜で1000倍も濃さが変わってくるよ!
一応、〆る前にもう一度だけ注意しておくよ。昼間の濃い側でさえ、月の大気密度は地球の1兆分の1以下しかないよ!ここまで薄い所にパラシュートなり何かを展開すると、まず起こるのは物質表面への吸着だから、その部分はパラシュートの抵抗になんら貢献せず、むしろパラシュート自体の重さを増やすだけになるよ。ということで、大気圧が1兆分の1なら、地球で必要な面積の1兆倍もあれば十分か、と言われれば全くそんなことはないはずだよ。あれはネタに対して脊髄反射的に答えたネタだからね!