若かりし頃,自分の専門分野では,実務者向けの事例報告の類いが多く,その分野で研究者になっても「学術研究」と呼べるようなものには取り組めないのではないかと,考えていた時期がありました.そんなときに「奇」を体験しました.

 同じような研究課題に取り組んでいた同僚が職場の勉強会に講演者として,、ある研究者(A先生とします)を招きました.A先生の講演は,自分にとって非常に興味深く,それまで自分が持っていた「研究アプローチに対する考え方」を大きく変えるものでした.つまり,これまでは学術的なアプローチは「ほぼ不可能だろう」と思っていた自分の研究分野でも,その方のアプローチを用いれば,学術的アプローチが可能であることが分かったのです.

 講演後,A先生に悩みを打ち明けたところ,「一緒に研究しよう」となりました.職場の上司も,A先生の研究室に頻繁に出張することを勧めてくれました.さらに,当時の職場では雇用任期が近づいていたのですが,偶然にもA先生が務める大学の近隣の大学から声がかかり,そこに務めることになりました.そして,A先生のゼミに参加させていただけるようになり,共同研究にも取り組ませてもらいました.当時,A先生との共同研究に取り組むには,細かな障害が少なからずあったのですが,こちらから取り組まなくても,それらがどんどん消えていきました.まるで「A先生のところで学ぶための道が自動的に開拓されているかのような感覚」です.おそらく背後で多くの方が支援して下さったのだと思いますが,自分としては,「天が進む道を示している」かのような感覚でした.発生確率としては,極めて低い事象だと思います.

 以上は20年以上前の話ですが,当時,「世の中,出会うべき人や出来事とは,何があっても出会うようにできているのだろう」と深く感じ入ったのを覚えています.

 ちなみに,A先生は今では人生の師になっております.

2023/01/18Posted
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