1970年代にEdward T. Hallという文化人類学者がハイコンテクスト、ローコンテクストと言う概念を使って文化の違いを説明しました。勿論、その後他の学者によってもっと複雑な文化概念が紹介されましたが、ここではハイコンテクスト、ローコンテクストを使って説明します。日本やラテン系の国(たとえばフランスとかメキシコ)はハイコンテクスト文化と言われ、暗黙的で状況や雰囲気を考慮してコミュニケーションをとる文化です。一般に集団主義的な文化であり、YesとNoの間のいろいろな中庸的な答えが良いとされる文化です。対照的に、アメリカやドイツはローコンテクスト文化と言われ、明示的なコミュニケーションをとる文化です。一般に個人主義であり、YesとNoのはっきりした答えを期待する文化です。

例えばローコンテクスト文化のアメリカでは「10人の医者のうち9人がxxxよりもyyyと言う風邪薬を推薦する」とか「xxxを食べると3か月で体重が10㎏減る」とか言ったはっきりしたメッセージの宣伝広告が好まれます。しかしハイコンテクストの日本では、このようなはっきりしたメッセージよりも雰囲気とか気分とかのはっきりしない(含蓄的な)メッセージの方が信憑性が持たれます。

逆の例を一つ示すと、一度、日本のある自動車会社がアメリカでパワーのある加速度が高い新型車を市場に導入する際に、車はベールに隠され、浜辺の波打ち際でそのベールがそよ風にあおられ、車のほんの一部だけが見えるようなコマーシャル(非常に日本的)を使いました。アメリカの経済紙、Wall Street Journal、のなかで、パワーのある加速度が高い新型車を紹介したいのだったら、どうして高速道路を突っ走っている姿(はっきりしたメッセージ)を見せないのかと批判された。

マーケティングが国境を超える際、文化の違いを考慮する必要がある。

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