小林憲正:私たちは生命として地球生命しか知りません。それは水が液体として存在する環境で誕生し,そ進化したもので,それに適した生体分子(タンパク質や核酸)を用いています。一般に,生命が存在するには,水・有機物・エネルギーが必要といわれるのは,地球型生命を考えた場合です。溶媒が水からメタンのような非極性のものになった場合,生体分子のデザインは大きく変わると思いますが,絶対に無理とは言いきれないと思います。また,温度が低いため,一般に反応速度が遅くなり,「スローライフ」になると考えられますが,生命のスピードは地球表層のものにとらわれる必要はないので,これも大きな問題ではないかと思います。地球外生命の発見では,まず,地球生命の常識を疑うことが最も重要だと思います。マイヨールたちは木星のような大きい惑星は恒星から遠いところを回っている,という常識を捨てたことにより,系外惑星を初めて発見し,ノーベル賞を受賞しました。