佐藤愛:怖い夢を見た日と素敵な夢を見た日では、一日の気分が変わってしまいますよね。
夢の研究はどこまで進んでいるかとのことですが、大きく二つに分けられます。夢に「意味」がないとする立場と、「意味」があるとする立場です。
前者の立場からすれば、夢は比較的単純な脳の生理的活動を反映したものにすぎません。REM睡眠中(身体は眠っているけれど脳が起きている睡眠状態)の脳の血流等を外から測って、高度な知的活動を行う場所(前頭葉)の血流が増加しているかを確認し、その場所が活動していないので夢は生理的活動である、とする立場です。
後者の立場からすれば、夢には「意味」があります。同じようにREM睡眠中の脳の血流を測って、前頭葉が活動しているから高次の脳活動が存在する、と結論づけます。
まとめると、前頭葉が活動していれば夢を見ている最中に脳は高次の活動をしており、夢に「意味」があるのですが、そもそもこのように計測結果が分かれているので夢の研究は奥が深そうです。(二つの実験の詳細については久保田泰考『ニューロラカン』第二章「夢の中のクオリア」に詳しい引用があるのでぜひ読んでみてください。)
さて、質問者さんは夢に「意味」がないとする立場、あるとする立場どちらがお好みでしょうか。どちらも進んでみるとさらにもっと面白い扉(たとえば、そもそも意識とは何か、外部から意識をどうやって計測するのか、などの問題)が開くかもしれません。
新たな疑問が浮かんだらまたMondの先生方にご質問ください。