小川仁志:そもそも心の豊かさとは何かということから考えてみたいと思います。一般には、心が落ち着いており、様々な物事を受け入れる余裕がある状態を指すのではないでしょうか。では、どうすればそうした意味での心の豊かさを手に入れることができるのか? それは心が豊かである状態の反対を考えてみればわかると思います。心が貧しい、あるいは心が狭くなっている状態ですね。つまり、おおらかさや余裕に欠ける状態です。どうしてそんなふうになってしまうかというと、自分のことで精一杯だからでしょう。そんな時人は利己的になるのです。ケチになったり、意地悪になったり、不寛容になったりと。ということは、利他的になれば、こうした状態を避けることができるはずです。現実はなかなか変えられませんし、誰だって自分のことで精一杯になることがあります。でも、それでも常に利他的でさえあれば、おおらかさや余裕を失わずにいられるのではないでしょうか。心の豊かさとは、自分のことにこだわらず、他者に手を差し伸べることのできる力だと思うのです。