彩恵りり🧚♀️科学ライター✨おしごと募集中:Image Credit: USSR Post (Public Domain)
まず、宇宙空間で発生した死亡事故は1件しかなく、遺体は地表に帰還しているよ。事故は1971年6月30日、世界初の宇宙ステーションであるソユーズ11号で、宇宙飛行士3人が帰還カプセルに乗って地上に帰還しようとした時に発生したよ。原因は帰還カプセルのバルブからの空気漏れで、高度167km時点で数十秒足らずで空気がなくなり、窒息死したんだよ。この死亡事故は、カプセル自体は問題なく地上に帰還し、地上の人員がカプセルを開けて初めて判明したもので、空気漏れさえなければ無事に帰還していたということになるね。
宇宙飛行中に起きた事故は、このソユーズ11号を含めて過去5件、亡くなった人は全部で19人だよ。そして国際的な宇宙空間の定義である、高度100kmで発生した死亡事故はソユーズ11号だけ。ソユーズ11号以外の事故は、地上からの発射直後が1件、大気圏再突入時のトラブルに由来するのが3件なので、遺体が宇宙空間に放置された事例は存在しないよ。
Image Credit: ISS Expedition 12 Crew, NASA (Public Domain)
質問者さんがこれと勘違いしているのかは分からないけども、あり得るケースとしてはスーツサットについて誤った情報を書いている何かを読んだものだよ。スーツサットは文字通り宇宙服を利用した衛星で、何の説明もなく写真を見せられたら、命綱が切れて宇宙をさまよう運命となった哀れな宇宙飛行士に見えなくもないね。もちろん、これはガワだけで、中には通信装置など、衛星として機能するための一通りの機材が詰め込まれているよ。スーツサットは、元々廃棄予定だったロシア製のオルラーン宇宙服に通信装置を取り付け衛星にできないかというモスクワ大学の案を受け、ロスコスモスとNASAが協力して実現した人工衛星だよ。2006年2月3日に国際宇宙ステーションから放出され、2月17日頃まで地上との通信が実現、9月7日に大気圏に再突入したよ。
現状、宇宙飛行士が活動できる範囲は低軌道しかないので、将来仮に宇宙空間で死亡事故が発生し、遺体の回収が不可能となった場合でも、遅かれ早かれ大気圏に再突入して
"地球に還る"
運命にあるよ。これは、上空何百kmというのは定義上は宇宙空間でも、実際には極めて薄い大気があるからだよ。つまり、ほんのわずかながら空気抵抗があるので、徐々に失速するね。それが何ヶ月とか何年とか積み重なると、そのうち落ちてくるよ。将来的には月や火星に人類を送り込む計画が進行しているので、月や火星、あるいは宇宙空間に半永久的に放置される遺体もあるかもしれない、とするとどうなるか。宇宙服の気密性は半永久的なものではなく、さすがに長い時間ずっと放置すれば、空気がなくなって真空に晒されるので、遺体はフリーズドライかミイラかのようにカラカラな状態となるはずだよ。それまでの間にある程度の腐敗が進行するにしても、乾燥した時点で半永久的に保存されてしまうだろうね。