大学名誉教授野田:技術的な解明結果が出ないと何とも言えませんので、「印象」だけを述べてみましょう。ロケット開発に限らない日本の技術力に関する印象です。三つの側面が感じられます。(1)昔は情報収集やその分析に対する情熱が個人によるものでしたが、時代とともに対価の少ない仕事を真剣にやらなくなったこと。本来ならそれに見合う対価を払うべきですがそれを怠っている。(2)グローバル化で日本製品といえどもその中身はあちこちの国で作ったものの寄せ集めです。残念ながら諸外国では日本人ほど製品に責任を持ってあたることが少ないです。むしろ日本人が異常なのです。そこで、製品に対する標準レベルが日本の企業でも落ちてきています。というより、過剰に壊れないものを作ってももうけに繋がらないからです。ロケット製作の現場ではもちろんそのようなことは無いと思いますが、やはり標準のレベルが落ちてくるとこのレベルで作れば良いと言うことになっていきます。(3)そもそも、昔と比べるときの問題です。H2ロケットとH3ロケットでは能力を1.3倍にして費用が1/2になることをめざしています。つまり、2.6倍の能力です。技術力もそれに見合うだけ必要です。マスコミはうまくいくとニッポンチャチャチャともてはやすが失敗すると非難囂々です。ロケットにしても何にしても一歩一歩の積み上げです。H3ロケットも積み重ねで成功に繋がっていくと思います。(Read more)