「私にとって物語とは何か」という問いに答えようと考えたとき、二つの回答が思い付きます。一つは「読み手としての物語」について。もうひとつは「書き手としての物語」について。なお、「物語」という言葉は必ずしも文章のみを意味しませんが、私は文章書きですから「読み手」「書き手」と表現することにします。
読み手としての物語。
私にとって物語を読むことは「別世界への旅」です。現代風にいうならば「異世界」といってもいいですけれど。ふだんの自分がいる世界から、物語を通じて別世界へ行く。そこには、ふだんとは違う風景が広がり、違う世界観でものごとが展開する。物語の登場人物と共にその世界を旅して、体験を共有する。
やがて物語は終わり、私はふだんの世界へ帰ってきます。そして、物語を読む前と後ではほんの少しだけ自分が変化している。何がどれだけ変化したと表現できるとは限りませんけれど、変化していることに変わりはありません。それが「別世界への旅」であり「物語」です。
書き手としての物語。
私にとって物語を書くことは「別世界の構築」になります。読者を、ふだんの世界から別世界へ誘い、物語の登場人物と共にその世界を旅してもらい、体験を共有してもらう。やがて物語は終わり、読者がふだんの世界に帰ったとき、ほんの少しだけ何かが変化していてほしい。願わくはその変化は、読者のこれからの毎日を豊かにする変化であってほしい。
結城は、そんなふうに思っています。
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なお、以下には主に「書き手」という立場から書いた読み物をリンクします。
◆物語とは何だろうか(本を書く心がけ)
https://mm.hyuki.net/n/n1f980ce03bae
◆自分の書く物語の登場人物と仲良くなりたい(文章を書く心がけ)
https://mm.hyuki.net/n/na81102774df2
◆読み切り漫画は描けるけど、連載漫画が描けない! 物語はどうやって作ればいいの?