粟田知穂:商標登録における「商標」に必要な要件は、「事業者が自己の業務に係る商品・サービスに使用するマーク(識別標識)であること」と「自己の商品・サービスと、他人の商品・サービスとを区別できること」ですが、このうち特に「他人の商品・サービスと区別できるか」が問題となります。 「ゆっくり茶番劇」「ゆっくり実況」「ゆっくり解説」「ゆっくり劇場」はいずれも、「ゆっくり」+普通名詞という構成をとっています。「ゆっくり」の部分は共通ですので、普通名詞に着目すると、「実況」「解説」「劇場」は名詞の中でも使用頻度・流通性が高いといえます。そして、「ゆっくり」との組み合わせで見ても、「実況」や「解説」を分かりやすくするため「ゆっくり」することはごく普通の対応ですし、「劇場」についても、方向性として比較的分かりやすいものといえるでしょう。 他方、「茶番劇」は名詞ではありますが、それほど使用頻度や流通性は高くありません。かつ、「ゆっくり」との組み合わせで考えたとき、通常茶番劇としてばドタバタのものを想像するところ、あえてその逆をいくという意外性があります。 以上のような検討をふまえ、「ゆっくり茶番劇」のみが通ったのではないかと推察されます。(Read more)