古勝隆一 (Ryuichi KOGACHI):「文言文」、というのは、中国語の文語文のことと理解しますが、これが書けるようになりたい、というわけですね。
何が動機で、何を目指しておられるのか、ちょっと気になるところです。
私の場合、中国文化圏の知り合いに宛てて、手紙やemailを書くのに、文言(本格的な「文言」ではなく「浅文言」と呼ばれる程度のもの)で書きたいと思ったことがあります。また、中国語で論文を書くことがあるのですが、完全な現代語でも、また完全な文言でも書きづらいので、その中間程度で書いています。その程度のもので、それ以上のことを目指したことはありません。卑近なもので、どうもお役に立てそうにありませんね。
手紙については、台湾や香港で出版されている、手引き(「應用文」とか「尺牘」とかの語が書名に含まれます)を読み、それをもとに勉強しました。たまたま手もとにあるのは、譚正壁『文言尺牘入門』(商務印書館(香港)、2017年)というものですが、以下のような例文が載っています。
> 夫子大人函丈:山河間阻,音問久疏。瞻仰
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> 絳幃,輒深神往。敬維
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> 文祺暢茂,著述宏多,為頌無量!受業抵京後,考入**大學,研求國學,隨班上課,不敢荒怠。……倘蒙 不遺在遠,時錫箴言,他日倘得寸進,亦皆受吾
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> 師之賜矣。耑肅奉候,敬請
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> 教安。
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> 受業 **敬稟 *月*日
これ以外にも、様々なシチュエーションに応じた文例が載っていて実用的です。私も、だいたいこんな調子でemailを書いています。
あとは、曽国藩(1811-1872)の手紙が有名だと聞いたので、全集に入っている手紙の巻を読んだりしました。
そんな実用的なものではなく、もっと芸術的なものを、ということであれば、私にはアドバイスできませんが、それでも、まず手本を見つけるのがよいように思います。駢文とか古文とか、スタイルを選び、目標となる作家(中国人でも日本人でも)を定めて取り組むのがよさそうです。お励み下さい。