この質問を「そういうことありますよね」と思いながら何度も読んでいたんですが、何かのタスクがうまく行かないときには焦るのはしょうがないし、違うことをしているときも気になるのはしょうがないような気がします。
もちろんそれは「基本的にはしょうがない」という意味です。一つのタスクがうまくいかないときに、自分が関わっているすべてのタスクに支障をきたすようでは困りますから、焦りながらも、気にしながらも、うまく切り替えていく必要はありますね。
三点、思うところを書きます。
スケジューリングを信頼する
仕事との距離感を調整する
自尊心を再確認する
スケジューリングを信頼する
タスクBをやっているにもかかわらずタスクAが気になるというのは、現在やっていることにうまく集中できないわけですが、これは簡単に言えば、自分のスケジューリングを信頼していないといえる状態です。
「いまの時間はタスクBをやる」「タスクAについてはこの時間帯で進める」というのがスケジューリングですが、自分の心の中に「そんなこといっても、その時間帯でタスクAは終わんないよな……」という不安感があると、集中できなくなります。それが「スケジューリングを信頼していない」状態ですね。
現実問題として、できないものはできませんし、遅れるものは遅れます。ほとんどのプロジェクトがそうです。ですから、できないときや遅れたときにどうするかを考えておく必要があります。できなかったらこういう対策になる。遅れたらこういうふうに謝る。それも含めてスケジューリングしておくのが現実のスケジューリングになります。
そのように「できなかったら」や「遅れたら」を考えることができるのは、仕事との距離感を適切にとらえているときです。このプロジェクトの成否が自分の人生を決めるんだ!……みたいな悲壮感を持って仕事に取り組んでいるなら、「できなかったら」なんて考えられません。
仕事との距離感を調整する
なので、仕事と自分の距離感を確認しておくことは大事です。私自身、若いときにはそういう突き放した考えを持つことはできませんでした。めちゃめちゃ悲壮な感覚で仕事に取り組んでいた時代がありました。でもそれは、いまにして思えば、逆に仕事のことを大切にはしていなかったといえるなと思います。
そんな悲壮感で、集中できずに、作戦や戦略を立てずに、プランBを持たずにプロジェクトを進めているのは、仕事を大切にしていないことになります。
ですから、仕事と自分の距離感を再確認し、調整しておくのは大事です。
自尊心を再確認する
それに関連して「自尊心」も再確認しておきましょう。それは、タスクがうまく進まないときに心に湧き上がる感情のことです。もしもあなたが「自分にはこんなこともできないのか!」のように自分を責めるような気持ちを強く持つ傾向があるなら、なかなか集中するのは難しくなります。少なくとも私は無理です。
ほんのわずかの負荷ならば、うまくいかないからがんばろうと自分を叱咤激励できますけれど、それが長く続くようなら、疲弊感や自己嫌悪の方が先立ってしまい、タスクがうまく進まないことでめげ、さらにはめげることでめげてしまいます。そのうちに何をやってても遅れている仕事が気になってくるようになってしまうでしょう。
ですから、自尊心……あるいは自己肯定感……または自分の価値……をきちんと確かめる必要があります。私はしばしば、仕事の成果と自分自身の価値の「分離」として説明することがあります。仕事の成果が上がっても、自分の人格的価値が高まったわけではなく、仕事で大失敗しても、自分の人格的価値が下がったわけではない。そのように思えるかどうか。
「単なるスケジューリングの話なのに何を大げさな話にしているの?」と思えるならば健全です。でも、そのように思えない人は意外に多いと思っています。仕事が遅れることが、自分の人格的価値に深い傷を負うと思っている人は多いのです。
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