津田賢一 (Kenichi Tsuda):前提として自分は自然科学系の知識はありますが社会科学系に関しては疎いので、中国における自然科学系の話として理解して頂きたいと思います。中国で博士の学位を取るためには一般的には第一著者(co-firstを含む)の査読論文を必要とします。学位を取らずに博士課程を卒業し、論文のアクセプトを待って学位の取得ということもあるようです。
次に博士の学位取得に査読論文が必要であることの善し悪しについて書きます。悪いところは論文がアクセプトされないと学位が取れないためチャレンジングなプロジェクトをやりにくい、学位を取るための研究になりがちということかなと思います。仕事が完成した後も難しい雑誌に投稿すると1年以上のリバイスの期間がある可能性もあります。そうすると学位も延期となります。
逆に良いところはある程度の客観性を持たせられるところかなと思います。大学において学位審査が厳正に行われない場合、学位の認定が甘くなる可能性があります。但し、昨今は出せば掲載されるような雑誌もあるので査読論文があったからといって成果を担保するものでもないかなとも思います。
自分は博士の学位は成果ではなくプロセスと能力だと思うので、各大学が厳正に博士学生の能力と博士たるプロセスを評価するのが良く、査読論文は必要としないほうが良いと個人的には思っています。