劉 庭秀:最近、人手不足ということもあり、リサイクル現場に自動選別やロボットを導入しようとする動きがあります。素材毎の自動選別に関しては、日本のリサイクル現場でもよく見かける光景ですので、特に珍しいことではありません。一方、開発途上国に行けば、手選別による選別が一般的ですが、これは大型装置が高価だからという意味もありますが、貧困層の雇用、選別精度を高めるという側面もあります。製造業で使われている原料や部品は、組成と形状が決まっているモノですので、自動化やロボットを導入しやすいです。 しかし、皆さんが廃棄物として排出しているモノは、非常に複雑で、多様です。しかし、長年使われていたモノもあれば、毎日捨てられるモノもありますし、汚れたり、添加剤が含まれていたりもします。このような状態の廃棄物資源を、AI機能で自動選別することには限界があります。ですので、少しでも前処理をしておけば、選別の精度が格段に上がります。つまり、日本では消費者に事前にラベルやキャップをとったり、中身を捨てるように促すことは、一種の前処理になります。また、リサイクル現場でも機械ではどうしても選別が難しいモノがありますので、そういった工程では人による手選別を行うケースも多いです。 もちろん、インフラ投資をしてすべてすべて自動化することもできますが、現状ではコストを考慮しても手選別の効率が高いケースもあります。便利で、多様な機能の製品をつくることは、それだけ廃棄物の組成や形状が複雑、多様になります。これらのビッグデータを取得して、機械学習で自動選別を施しても、完璧な選別精度を期待することは難しいため、生産者、消費者が同じ方向(儲けや利便さを重視せず、環境問題に配慮)を向いて行動しなければ、高度な資源リサイクルは簡単ではありません。(Read more)