野尻伸一💉💉💉💉💉(ο)(ハッパ):アカデミアの衰退が起こっているのは、いわゆる先進国では日本だけですね。その理由は運営交付金という研究等のため比較的自由に使える予算が年々減らされていることです。
運営交付金と異なり、申請書に研究目的や研究計画を書かせて審査を経て採択される競争的資金は増えていますが、審査員には専門外の方も含まれるため、申請はかなり自明に書く必要があり、目的も達成することが可能なことがあらかじめ分かっているものに限られてきます。また、申請書を書くためにも多大な時間がかかりますし、申請が採択されても研究プロジェクトの運営や競争的資金で雇用した方々の管理などで時間が取られ、申請者が実際に研究に費やす時間が削られます。更に、途中で全く新しいアイデアが浮かんでも、それが研究計画に沿わなければ、研究資金をそのアイデアの追求に使うことや時間を割くことも出来なくなります。科学者は自身の好奇心に任せて研究を行いたいですが、競争的資金は新たな研究の発展の芽を摘むように働いています。
また、運営交付金の減少は任期のない研究者の数を減らしています。競争的資金で研究者を雇用することは可能ですが、競争的資金は研究期間が定まっており、どうしても有期雇用となります。また、雇い止めのため、新たな競争的資金が得られても、引き続き雇用することが難しくなっています。そのため特に若い研究者にとってアカデミアはさほど魅力のあるものではなくなり、優秀な方から抜けて行くことになり、更なるアカデミアの衰退を招いています。