Tomyuki Yokota:私は用途を意識した開発と、意識しない開発の両方を実際に行ってきております。これまでの私の経験から考えると、この2つに関してはご指摘の通りプロセスが全く異なると感じております。
まず用途を意識した開発では、これまでに報告されている技術を組みわせてでもいいので、用途を実現するための研究開発を行います。もちろん、このような研究開発では、既存の技術のみを組み合わせることで実現できることもありますが、既存の技術のみでは実現できないこともあります。その場合には、用途を実現するための新しい技術を開発する必要性が出てきます。
一方で、用途を意識しない開発の場合、私個人の経験になってしまいますが、自分の興味などに重点を置き、全く新しいものを開発しようというモチベーションのもとに研究開発を行うことが多いです。そのため、基本的にはこれまでに実現されていない技術を開発することをはじめから目的とした研究になりますので、全く新しい斬新な技術が生まれることがあります。その一方で、チャレンジングな課題であることが多く、実際には全く実現しないことも多くあります。
そのため、ご質問のとおりで、偶発的な成果や斬新な技術が生まれるのは後者のほうが多いと個人的には思っております。