kfujita:生成文法の場合は人間の言語能力自体が研究対象であり,言われるような学習英文法?語法研究?とはまったく関心の所在が異なっています.言ってみれば,わざわざ学習するまでもない言語の特質の研究であり,人類進化の中で生まれ我々に備わった言語能力の特質の研究です.一方,動名詞とto不定詞の使い分け等は個別言語の歴史的発達の中で生じたもの(今風にいえば文化進化の産物)でしょう.
(1) They want to smoke out of the room.
(2) They want smoking out of the room.
これらはまったく意味が異なります.to不定詞の隠れた主語はtheyと同じですが,動名詞のそれはthey以外の人.(1)は自分らが室外で喫煙したいのに対し,(2)は他者に室内で喫煙してもらいたくないという意味です.なぜ不定詞ではその主語が主節主語と一致し,動名詞になるとそうではないのかについて,何らかの構造的な説明が与えられるなら,多少は生成文法ぽい話になるでしょうし,それも「未解明の部分」になるのかも知れません.