Hayato Shimabukuro(島袋隼士):面白い質問ですね。まさに、その質問に対する回答のヒントになる論文を見つけました。「The Equation of State of Hot, Dense
Matter and Neutron
Stars」というタイトルで、中性子星の中の状態方程式に関する論文です。こちらの論文によりますと、37ページに「密度が大きくなるほど音速が早くなる」と書いています。ということは、「密度をどんどん大きくしていけば、音速が光速を超える!」と思ってしまいそうですが、むしろ、相対論的な因果律を破らないために「音速が光速を超えてはならない」という条件を課して、理論を組み立てるのです。
例えば、こちらの記事の14ページの注釈によると、半径が10kmの原始中性子星の場合、その質量が太陽質量の2.4倍以上だと、音速が光速を超えてしまうと書かれています。このことから逆に中性子星の質量は半径10kmの場合だと、太陽質量の2.4倍以下でなければならないという条件が課されるわけです。ということは、逆に太陽質量の2.4倍よりも重い原始中性子星が見つかれば、相対論的因果律を破る可能性があるので、理論の見直しを迫られる可能性があります。
いずれにしろ大事なのは、相対論的因果律を条件として課すことで中性子星の質量に制限を与えるのが先に来るので、密度を好き放題大きくしては良くないということですね。