鵜山太智:土星の環が一番大きく明るいので有名なのですが、実は木星、天王星、海王星も環を持つことが知られています。また惑星ではないですが、カリクローと呼ばれる小惑星にも環が確認されています。ただし、なぜ環ができるのか、木星の方が土星より大きいのに環は土星の方が顕著なのかなどについてはまだ確固とした理論が定まってないんですよね。一つの可能性としては過去にあった衛星が何らかの理由で破壊された名残が環になっていて、数億年のタイムスケールで散逸していくと言われています。
科学的な議論を進めるには、これらの環の観測データを集めるのが一番良いのですが数億年のタイムスケールが少し厄介です。100年モニタリングしても全く変わらないかもしれないのです。そこで系外惑星の出番です。
系外惑星は太陽系と異なる様々な年齢・環境の惑星の物理状況を知ることのできる有益な情報源です。系外惑星において多様な環が確認されれば土星を含めた太陽系内の環の形成過程のヒントになるのですが、実はまだ系外惑星の環と示す確実な証拠というのは見つかっていません(現在の観測性能の限界)。今後の観測で系外惑星における環の存在が明らかになってくれば、環に関する理論が更新されていく事が期待できます。