小川仁志:やるべきことを先延ばししてしまうのには理由があるといわれます。一言でいうと、それは苦手なことなのでしょう。得意なことや楽しいことは皆進んでやりますから。ただ、アメリカの哲学者ジョン・ペリーは、『スタンフォード教授の心が軽くなる先延ばし思考』(東洋経済新報社)の中で、それでいいんだといっています。そうやって人は好きなことをどんどん片付けていって、生産性を上げることができるからです。やるべきことは後回しにしているだけのことです。それでもやらないなら、結局自分の人生にとっては必要なかったということです。私もこの考え方に賛成です。だから苦手なことはいつも堂々と後回しにしています。ただ、どうしても逃げずに取り組みたいことがあるなら、古代ローマの哲学者マルクス・アウレリウスが『自省録』で書いているように、それを自分の使命ととらえて、それをするために自分は生まれてきたのだと一度真剣に問い直しをすることです。逃げるために生まれてきたのではないはずだと。人生は一回きりですし、あっという間に年を取りますからね。