横田有為:円と違って楕円は、焦点を2つ持ちます。もし、楕円が鏡でできていた場合、一方の焦点に置かれた光源からの光は、楕円で反射されてもう一方の焦点に集まる性質があります。この特徴を利用した結晶育成方法があり、集光式浮遊帯域溶融法(フローティングゾーン法)と呼ばれています。
楕円鏡内の一方の焦点部分にハロゲンランプを設置することで、もう一方の焦点にハロゲンランプから出てきた赤外光を集光でき、その焦点に設置した物を高温に加熱することが可能となります。楕円鏡を切断して組みわせることで、2つや4つものハロゲンランプからの光を1点で集光することができ(双楕円、4楕円)、3000℃以上もの高温を作り出すことが可能です。高温状態を作り出すことが可能な方法は数多くありますが、1点で局所的に高温を作り出すことが可能なこの方法は、物体を加熱・溶融した後、焦点位置から移動させることで、すぐに冷却することが可能なため、その特徴を利用した単結晶の育成が可能になります。