ところてん:これの代表的な事例が人工衛星や、探査衛星、惑星探査機との通信です。例えばNASAのボイジャー1号は地球から230億キロを超える遠方に存在し、通信は片道でも21時間を超えるようになっています。火星探査機の場合は往復の通信は最短で6.5分、最長では44分かかります。
また帯域の細さという点では、地球と人工衛星の間には、大気の窓が存在しており、通信に使える電波帯域が限られており、通信をなかなか太くできないという問題があったりします。これは大気を占める酸素、窒素、二酸化炭素、水蒸気(水分子)が電波を吸収してしまうため、特定の周波数の電波しか通らないというものです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%B0%97%E3%81%AE%E7%AA%93
このほかにも、水中での通信ではなかなか通信帯域を稼げないという問題があります。水が電波を吸収してしまうため、長波や音波しか使うことができず、周波数を上げられず、十分な通信帯域を確保するのが困難です。こちらについては水中での光通信による通信が現在模索されていたりします。
https://time-space.kddi.com/au-kddi/20220906/3343
https://www.shimadzu.co.jp/messe/exhibition/mobility/communication/01.html
レイテンシーが大きい環境場合、TCP/IPのような誤ったパケットについて再送を要求するアルゴリズムは利用することが難しくなります。こういった環境の場合、TCP/IPで使われているCRCような、誤り検出符号ではなく、数ビットの誤りを許容する訂正符号をを用いることが求められます。誤り訂正符号は身近なところだとQRコードなどで活用されています。
将来的な宇宙進出を見据えて、惑星間インターネットという分野の研究が行われていたりします。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%83%91%E6%98%9F%E9%96%93%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88
また通信が細い環境の場合、エッジコンピューティングが有効になります。リモートにある情報をすべて得るのではなく、リモートで何らかの計算を行い、計算結果を要求元に送るようにするわけです。
たとえば、パナソニックからスピンアウトしたVieurekaは、監視カメラの中にディープラーニングができるコンピュータを内蔵されています。これにより、何らかの特殊なイベント(不審者や万引き、暴力行為など)が起こったときのみサーバに情報を送るといったことが可能になり、通信量を大幅に減らすことができます。
https://www.vieureka.com/platform/camera/
こういった帯域が細い環境では、エッジコンピューティングを行うために、リモートサービスに対して、プログラムを送り込んで、プログラムを実行し、その結果を返してもらうという形になります。