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セレナ

RNAとDNAはの違いは何でしょうか?五単糖に注目すると、RNAはリボース、DNAはデオキシリボースですね。これらの違いは、デオキシリボースでは2'水酸基(-OH)がないことです。RNA鎖とDNA鎖はヌクレオチドがホスホジエステル結合で結ばれてできており、"安定性"とはこの結合が切れにくいことを意味しています。RNAの2'水酸基は3次元構造を考えると、ホスホジエステル結合に求核攻撃しやすい位置にあり、これがRNAをDNAよりも不安定なものにしています。

さらに、遺伝情報をどこまで正確に保存できるかという安定性の観点もあります。RNAとDNAはリボースだけでなく、利用する塩基の種類も異なっており、DNAのチミン(T)に対応するものがRNAではウラシル(U)です。シトシン(C)はアミノ基(-NH2)が水分子による求核反応(マイケル付加反応)を受けやすく、ある頻度でウラシル(U)に変換されます。DNAではウラシル(U)は利用していないのでその変換が起きても誤りが明確であり、相補鎖を鋳型として修復が行われますが、RNAの場合はウラシル(U)が正しいのか、それともシトシン(C)が脱アミノ化したものなのか区別できません。もちろん、RNAを生命機能と遺伝情報として用いていたと考えられる初期の生命("RNAワールド"で調べてみてください)ではシトシン(C)→ウラシル(U)の変換によってさまざまな遺伝情報や機能分子が模索されて進化が促進された面もありますが、土台が出来上がった後は安定的に遺伝情報をつないでいくために、DNAに役割を渡していったと考えられます。

また、生命化学系の実験においては、気を付けないと実験系に混入したRNase(RNA分解酵素)がRNA鎖を分解してしまうので、それでRNAは不安定という印象を持っている方も多いかと思います。RNaseは一般に複数のジスルフィド結合を有しており、変性剤やオートクレーブでも失活しにくいため(一時的に失活しても失活要因を除けば元に戻る)、実験系に混入しないように細心の注意を払う必要があります(RNA実験で使う器具は他の実験のものと別のものを使う、RNA実験専用の実験区画を用意する、手袋・マスクを必ず着用、会話をしない等)。私が学部生の頃に実験実習でRNA鎖の逆転写を行ってPCRを行ったところ(RT-PCR)、同時に行っていた全班でPCR産物が得られないということがありました。共通で使っていた水の大元のストックにRNaseが混入していたためだと思われます。どう混入したかは分かりませんが、RNaseは人の唾液や汗、空気中の微生物中にも存在しており、簡単に混入しやすい環境にあります。

このようにRNAを用いる実験ではRNaseを混入させないことが重要です。ちなみにDEPC(diethyl pyrocarbonate)を用いてRNaseの活性を阻害するのも一手です。

2023/01/12Posted
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