なかなか鋭いご質問ですね。企業であれ大学であれ、どんな組織に属していても、組織人である以上、内部告発は様々な意味で困難な面があるといえます。なぜなら、組織では組織の論理が個人の信念に優先するため、「正しいことが通る」とは限りませんし、その「正しいこと」も個人個人で価値観が異なるため、Aさんが「正しい」と思うことがBさんにとっては間違っているということが起こりがちだからです。ですので、ご指摘の感覚は、大学に限らず、様々な組織でありえることであり、大学といえども組織であるには違いないという社会現象のひとつといえます。わかりやすい例をあげれば、『半澤直樹』というドラマがありますね。あれは銀行業界を舞台にしていますが、信念を通そうとすれば左遷されたり、職位が上の人々から冷遇されたりするわけです。なので、そうした組織のメカニズムからは、たとえ教育機関といえども全面的に逃れることは困難といえます。私は銀行ウーマンになったことはないので、『半澤直樹』がどの程度現実を反映しているかについては、推測の域を出ませんが、ただ、実務家教員を増やすという方針により、日本の大学でもこれに似た”社会勉強”をする機会が増えました。組織の論理を学ぶことができ、ここ十年来、なかなかに貴重な経験をしているところです。これも”参与観察”として相対化してみれば(ちなみに、最近は日本の大学にもアレレな人がまじっていて、”参与観察”の意味すらわからず学際研究などと称している例があって困りものです。税金の無駄遣いはやめていただきたいものです)、こうしたご質問に自信をもって回答できるようになって良かったと思っています(苦笑)。

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