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I. S.

2言語を両方小さいころから勉強させるとごちゃごちゃになって、共に中途半端な形で身につくと言います。

1つ以上の言語に触れて育った言語形成期の年少者がどの言語も年齢相応のレベルに達していない状況になることがあり、その状況を「ダブル・リミテッド」もしくは「セミリンガル」と言います。

この状況になるのは「2言語を小さい頃から勉強させる」ためではなく、また2言語が「ごちゃごちゃになる」わけでもありません。あくまで年齢相応のレベルに達していなことが問題であり、子供であっても言語は区別できると考えられています。

ところで幼児期に、年令に応じた母語教育を受けるとダブル・リミテッドになる可能性が低いと考えられています。これは言語運用能力には、各言語に固有のものと共通のものがあるためです。

たとえば「季節」の概念は日本語でも英語でも共通です。子供が初めて季節という概念を学ぶ際には、まず1年間を通して徐々に温度や日の長さが変わり、それが毎年繰り返すということを理解する必要があります。特に暑い時期を夏、寒い時期を冬と呼び、その間を春と秋と呼ぶことを理解して初めて、季節という言葉を理解したことになります。

最初に「季節」を理解するのは大変ですが、ひとたび「季節」という単語を日本語で理解してしまえば、英語で「season」を学習するのは一瞬です。

たとえば移民一世の親が、自分の子供に現地語を早く習得してほしいと考え、家庭でも母語ではない(あまり流暢ではない)現地語で話しかけたとします。そうすると子供の言語発達が遅れ、結果的にダブル・リミテッドになる可能性が高まります。一方で母語で語りかけた場合、現地語固有の能力は伸びなくても、言語共通の概念は年相応に身につくことになります。

(ここでは、かなり話を端折っています。言語発達に関して詳しく知りたければ、Jim Cummins 氏の著作や、継承語関係のペーパーを読むと詳しく解説されています。)

以上を踏まえたうえで、幼少期にプログラミング言語を勉強させることが日本語能力に影響を与えるかを考えると、全く影響がないでしょう。自然言語とプログラミング言語は両方とも「言語」とは名付けられていますが異なるものです。たとえば「季節」という概念は英語でも日本語でも存在しますが、プログラミング言語には存在しません。

ただし全く別の理由から、幼少期にプログラミング言語を学ばせることは時間の無駄だと思います。プログラミング言語では変数、関数、ループといった抽象概念を使いますが、これは認知能力がある程度発達してからでないと理解できないためです。

5か月

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